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里山ごはんの歴史

私たちプラナスグループの前身である「スプリングソサエティ」は、子育て世代が急増する一方で障害福祉サービスが不足していた町田市小山町・小山ヶ丘地域(京王線多摩境駅周 辺)にて、障害をもつ子どもたちとその親が放課後に集まる場として、サークル活動のよう な形態で 2010 年に活動をスタートさせた団体です。貸しスペースを転々としながら2年間活動を続けた後、継続的に安定した活動ができるようにと、合同会社プラナスが立ち上がり、 この活動を「放課後等デイサービス」の形で展開していきました(2014年にNPO法人へ移行)。

法人名に使われる「プラナス(PRUNUS)」は、ラテン語で「桜」を意味します。古来より人が集まる場所の象徴とされてきた桜。障がいがある人もない人も、ともに集まり一緒に自分たち地域の暮らしについて考える、そのきっかけをつくれればという思いから“プラナス”という名前を掲げました。

プラナスは 2015 年、学校卒業後の利用者を受け入れる為(地区内に成人向けの施設がな かった為)生活介護事業所「プラナスクリエイティブセンター」を立ち上げました。比較的 重度の障害を抱える方が多い中、それでも当然の権利として皆が地域で豊かに暮らせるようにと
「1地域とともに暮らせるよう地域に根付いた」
「2自分に合ったものを選択できる よう多様な」
「3やりがいを感じれるよう相応しい報酬を得られる」
仕事を創出することを目指し活動してきました。

町田市の商工会議所と連携し、特産品“まちだシルクメロン”を 使った商品(飴やゼリー等)の企画開発を主導してきたことを皮切りに、オリジナルの商品の製造や販売、流通の面で障害をもつ当事者が携わり、メディアでの露出も後押しとなって、 ある程度の販売数を上げることができるようになっていきました。

そのような中、起きたのが新型コロナの感染拡大。これまで行われていた百貨店や公共施 設等での出張販売が一気に無くなり、そもそも贈答用に使われることの多かった私たちの各商品がコロナにより販売数も激減したことで、月の売上は一時0近くまで落ち込むこととなりました。
またその一方で元々、商品販売による工賃と年金だけで達成できる「障害を もつ方の生活の豊かさ」についても限界があることが法人内では語られていて、「工賃を目 的とした活動」を大切であるとしつつも、並行してそれ以外での「生活の豊かさ」とつながる活動をつくることが課題として挙がってきました。

「生活の豊かさ」につながる取り組みというと様々かとは思いますが、プラナスではその 一つとして「食」の豊かさを向上させる活動に取り組むことにしました。通所施設への補助 金には食事の提供に対するものもありますが、その金額は限られている為、よりよい食生活を整えるとなると、本人の負担を増やすか、別の資源を活用するかということになります。 収入が限られる当事者の負担を増やすというのは難しいため、別の資源に目を向けたところ、大きく分けて4つの身の回りにあるものを使わせていただくことで、この「食生活の豊かさ」に貢献できるのではという結論に達しました。

1家庭レベルで受け継がれる伝統技術 (味噌作りや醤油作り、梅干作りなど)
2里山の豊かな自然(果樹や山菜の収穫など)
3 新しい技術(まちだシルクメロンを作る町田式水耕栽培など)
4人と人との見える関係(協 力者やお客様)

上記について、これまで身の回りにあったものの活用しきれていなかったものも多く、例えば「課外活動的に作っていた味噌や醤油」「たまに採るものの活用方法が分からない里山農園内の果樹や山菜」など多くの資源が活用されないままであったことに、コロナの影響により施設内で過ごす時間が増えることで気づかされました。これらの活用にはじっくりと時間をかけて取り組むものが多く、結果として比較的重度の障害をもつ方が施設の活動として取り組むのにも適していたと言えます。

自分たちの食事づくりを目的としてスタートした「里山ごはん」ですが、たくさんの方からまたその先の多くの方へと繋いでいただいたりしましたおかげで、徐々にいろんな方に召し上がっていただけるようになってきました。

2023 年にはこの取り組みを別法人“株式会社プラナスサポート”の事業として新たなスタートを切ることとなりました。NPO 法人プラナスをはじめ、地域の様々な方と連携をとりながら、多くの方に豊さを届けられる存在 になれればと思っています。